本書はウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカ氏のこれまでに行われたインタビュー、大統領の任期を終えた直後の1時間を超えるインタビューをもとに、くさばよしみ氏が子ども向けに平易な文章に編集したものである。全72ページで1ページに多くて15行ほどしか書かれていない。合間に可愛らしい絵が描かれており親しみやすい。
ホセ・ムヒカのプロフィール
ウルグアイ在住1935年生まれ。全ウルグアイ大統領。2010年から2014年まで40代ウルグアイ大統領を務める。2012年のブラジルで行われた国連会議でのスピーチが全世界で注目を浴び、「世界でいちばん貧しい大統領」として給料のほとんどを寄付している質素な生活も話題になった。趣味は園芸。2013年と2014年にノーベル平和賞にノミネートされている。政界からは2020年時点で引退し2021年には、のどに魚の骨が刺さったことで病院に入院、手術する出来事があった。
この本は明らかに子ども向けの本であるが私のような馬鹿には面白い。
軍部が権力を握ってからの、4度目の投獄生活は悲惨だった。つかまったとき抵抗して、6発撃たれて死にかけた。そして13年間牢獄にいたんだ。
世界でいちばん貧しい大統領からきみへ
過激なことが書いてあって興味をそそられた。というか6発撃たれても生きていられるものなのかと思った。
1960〜70年代、キューバ革命の影響を受けた非合法組織の極左都市ゲリラ“民族解放運動(トゥパマロス)”の一員として活動、資金を稼ぐために強盗や誘拐などに手を染め、’72年逮捕される。’73年収監されて拷問も受け、軍事政権が終わる’85年まで服役した。この間、刑務所からトンネルを掘って脱獄した経験もある。
コトバンク
皆が知るホセ・ムヒカは質素で穏やかな大統領であるだけだったかもしれないが、若き頃の彼は意外にも激動だった。
一番印象に残ったのはこの二文
民主主義がすばらしいのは、永遠に未完成で完璧にもならないからだ。そして、平和的な共生を可能にするからだ。
世界でいちばん貧しい大統領からきみへ
私が無知だからなのかもしれないが民主主義をこういう風に言い表すのは初めて聞いた。人種差別が問題になる昨今だが、同じ国でも同じ地域でも家族内でも考えが違うのは当たり前で、それをすべての人が満足のいく社会にすることは不可能。だからこそ変わり続ける。ということを私は当然のことながら忘れていたようです。
まとめ
大人(一般的な常識のある人)ならこの本は読んでも吸収できることは少ない。しかし、私たち馬鹿にとっては、ページ数も少ないし、挿絵はついているし、読みやすい。子どもの読み聞かせに向いているかは分からない。小学生の中学年の子が自主的に読むのは良さそうだなと思える本でした。